宮古島トライアスロン
この大会の為に12月からずっと準備してきた。
トレーニングの内容も大きく変わり、数値上も成果が見えてきた。
しかし数値はあくまで数値でそれを結果に結びつけるのは冷静なレース展開だ。
スタート前もその事を肝に命じてスタートした。
全てが練習通り行えるはずだった
スイムアップをして東急リゾートの中でトランジッションをしていざバイクに跨り、一踏みペダルを踏んだ瞬間に右大腿部外側から股関節にかけて痛みが走る。痙攣かと思ったがどちらかというと強い打撲の様な痛み。しかしスイムの途中にも強い接触はなく、全く原因がわからない。
痙攣であっても、打撲であっても力めば痛いなりに漕げるものの、初めの5kmは全くと言っていいほど右脚が使えない、左脚の補助程度の動きで漕ぎ進める。少しずつ回復する事を祈りながら
長いトレーニングの成果を発揮するどころか、余裕をもってロング用に設定した数値まで到達しない。頑張って踏んでも設定の半分程のパワーしか出なかった。
後でガーミンベクターで左右のパワーバランスを確認(最後の写真)したらやはり初めの10kmほどはほとんど左脚で漕いでいたので感覚とデータは一致していた。
10kmの伊良部大橋で彦井コーチが応援してくれていた。エアロヘルメットと風で何を言っているのか全くわからなかったけど応援してくれている。この宮古島に向けてカラダを作りあげてくれたのにこのまま終わらない。ここからはもう痛くても悪化しても構わないから行けるところまで行こうという気持ちで踏み込んだ。ずっと右脚は痛いけれどここまでやってきて何も出さずにレースを諦める事も出来なかった。
スタートしてまだ1時間しかたっていないがかなり出遅れてしまった。
バイク序盤の痛みか少し和らいできた気がした、アドレナリンの影響かもしれないが痛くなく漕げるなら問題はない。しかし設定のパワーを楽に出せる脚の状況ではないらしい。普段疲労を残したままトレーニングを積んで漕いでいる時よりも辛いくらいだ。
しかし一人また一人と選手をパスしながら50km地点では2位まで上がってくる事が出来た。1位の戸原選手とはかなり差が開いてしまった様で10km地点から少しタイム差を縮めながら詰めていくものの100km地点あたりからはまた離され始めてしまった。脚の痛みを気にしながら冷静に現状を考えしっかりとランを走れる様目標値を下げ、ペースを少し落としたところで安定させた。
ランに右大腿部がどれほど影響あるのかは走ってみないと分からなかったが、痛くても今いる位置は2位、やるだけやる。
トランジッション2でバイクを降りた。
トランジッションの中を走る。内臓はまだまだ元気、でも脚は動かなかった。
ストライドが伸びない、何より左右バランスが悪くフラフラしながら走り出す。初めは下りだからいいものの上りは特に脚が上がらない。
ペースも上がらない、練習ではアップとダウンで走るよりも遅いペース。
空一面に雨雲が広がりスコールの中の前半10km気持ちいいけれどペースは上がらなかった。今年の宮古島はコンディションとしては本当に適したタイミングで雨が降ってくれていた。なのにもったいない。そんな事を考えながらどこまでいけるかどこまでいけるかと進んでいった。
宮古島のランコースを何度イメージして走ってきた事が、今年こそはこのコースを制覇出来ると思っていた。
あっという間にレースを失い、そこから長い辛抱のレースになってしまった。
ラン後半は低血糖でペースダウンをして最後は歩いてフィニッシュとなった。トラックだけ走ったけど。
たくさんのスポンサーをつけてみんなのお金を使って何を自分はやっているのだろう。本当に申し訳ない。
しかしハワイの時と違うのは自分に自信がまだある事、実際にトレーニングを積む上で数値での向上が確認出来てここまでやってこれた事、この脚のダメージの中でこの程度走れたという自信は得られた。
このレースは国内での注目度も高くかなり重要だった。ここで活躍しないでどうする!!というレースを落とした事はかなり悔しいし残念だ。でも自分は強くなっている、次のレースではもっと強くなっている。
早く脚を治して、また辛い練習をこなして、レースをする。それがプロだ